「ノーコードやローコードって、どうやって導入すればいいの?」
「専門知識が少なくても使えるなら試してみたい」
このような悩みはありませんか?
- ノーコード・ローコードの基礎
- 初心者が安心して導入を進めるための手順
- ノーコード・ローコードのおすすめツール
ノーコード・ローコードは、初心者でも手軽に取り組めて、コストを抑えながら業務の効率化を図れる手段として注目されています。
特に、IT人材が不足している現場では、限られたリソースでも短期間でシステム開発を進められる点が評価されています。
「自社の人材だけで、うまく活用できるのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初心者にもわかりやすくノーコード・ローコードの基本から、メリット・デメリット、ツールの選び方までを解説しています。
導入を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、ノーコードでローコード並の柔軟なデータ連携やワークフロー処理に対応できるプラスAppsは、無料トライアルも提供されていますので、まずは試してみるのもおすすめです。

ノーコード・ローコードとは。知っておきたい基礎知識
ノーコード・ローコードとは、プログラミングに関する知識が少なくてもアプリやシステムを開発できる手法です。
開発スピードの速さやコストの低さから、IT人材が不足している現場を中心に導入が進んでいます。
ここでは、それぞれの手法の特徴や違いについて解説します。
- ノーコードとは
- ローコードとは
- ノーコードとローコードの違い
ノーコードとは
ノーコードとは、プログラミングを一切使わずにアプリや業務システムを開発できる手法のことです。
コードを記述する代わりに、画面上でボタンや入力項目をドラッグ&ドロップで配置しながら、アプリの構成を組み立てていきます。
たとえば、顧客管理システムや問い合わせフォームといった、社内向けの業務アプリを短期間で作成したい場合によく利用されています。
自社サービスとなるプロダクト開発などでは、まず最低限の機能のサービスを作成し、ユーザからの反応やニーズを短期間で調査する場合などでも使われることがあります。
このように、開発スピードを重視したいシーンで力を発揮するのが特徴です。
なお、Googleフォームのような特定の機能を作成するツールと混同されることがありますが、ノーコードはより汎用性が高く、複数の業務プロセスをひとつのアプリにまとめられるという違いがあります。
単機能にとどまらず、幅広い業務をカバーできるのが大きな魅力です。
もし「自社でシステムを内製化したいが、プログラマーがいない」といった悩みを抱えている場合は、ノーコードがおすすめです。
基礎的な業務プロセスであればプログラミングの知識がなくても開発でき、現場主導で構築できる点から、導入を検討する企業が増えています。
ローコードとは
ローコードとは、画面操作による構築を中心にしつつ、必要な部分だけ少量のコードを使って開発する手法です。
「完全なノーコードでは足りない」「細かいカスタマイズが必要」といった場合におすすめです。
たとえば、営業管理アプリにチャットボットを連携させたり、受発注管理と会計システムをつなげたりする場面で使われます。
スクラッチ開発(ゼロからすべてをコーディングする開発手法)との大きな違いは、開発工数やコストを抑えつつ、拡張性や連携機能を実現できる点です。
自社システムとの連携や細かな独自仕様が必要な場合は、ローコードが適しています。
ノーコードとローコードの違い
ノーコードとローコードは、どちらも開発の効率化を目的としていますが、向いているケースや機能の柔軟性に違いがあります。
以下に、両者の違いを比較した表をまとめました。
比較項目 | ノーコード | ローコード |
プログラミング知識 | 不要 | 最小限の知識が必要 |
開発スピード | 早い | ノーコードよりはやや時間がかかる |
拡張性・連携 | 制限あり | 高い(外部システム連携やカスタム処理が可能) |
コスト | 比較的安価 | 開発内容によっては費用がかかることもある |
向いているケース | 小規模開発、社内アプリ、業務の一部改善 | 大規模開発、既存システムとの連携、拡張性重視 |
たとえば、短期間で営業日報や勤怠管理アプリを作りたい場合はノーコードが適しています。
一方、在庫管理と会計データをリアルタイムで連携させたい場合には、ローコードを選ぶのが現実的です。
自社の開発体制や目的に応じて、どちらを採用するかを見極めましょう。
ノーコード・ローコードが注目されている理由
ノーコード・ローコードが注目を集めている背景には、企業を取り巻くビジネス環境の急速な変化に加え、IT人材の慢性的な不足といった課題があります。
こうした状況のなか、短期間で業務改善やシステム開発を進める必要性が高まっており、プログラミングなどの専門知識がなくてもアプリやツールを自社で構築できる仕組みは、多くの企業にとって非常に頼もしい存在となっています。
特に以下の2つは、導入を後押しする大きな理由です。
- IT人材不足とDX推進
- ビジネス環境の変化とスピードへの対応
ここでは、それぞれの背景や課題について詳しく解説します。
IT人材不足とDX推進
ノーコード・ローコードが注目を集めている最大の理由のひとつは、深刻なIT人材不足と、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が急務となっている現状にあります。
多くの企業ではエンジニアの数が限られており、システム開発を外部に委託すると、コストや納期の面で不利になってしまうケースも少なくありません。
特に近年は、社内業務の見直しや小規模なアプリの開発を、できるだけスピーディかつ低コストで進めたいというニーズが高まっています。
こうした背景を受け、ノーコード・ローコードのような開発手法が選ばれる場面が増えてきました。
ノーコードやローコードを取り入れることで、業務部門の担当者が自ら画面を設計し、必要なツールを構築できるようになります。
たとえば、これまで紙で運用していた稟議の承認フローを、ドラッグ&ドロップで作成したフォームに置き換えるだけでも、業務の効率化につながります。
また、操作が直感的で分かりやすいため、専門的なスキルがなくてもすぐに扱えるのも大きな魅力です。
そのため、導入のハードルが低く、社内での活用も進みやすくなっています。
結果として、IT部門に依存せず、現場主導で業務改善を推進できる企業が増えており、限られた人材でも内製化を実現する動きが加速しているのです。
ビジネス環境の変化とスピードへの対応
ノーコードやローコードが求められているもう一つの理由は、ビジネス環境の変化に迅速に対応する必要があるからです。
近年は、市場や顧客のニーズが急速に変化しており、数ヶ月先には既存のシステムが使いものにならなくなるといったケースも珍しくありません。
そのため、変化に柔軟に対応するには、必要な機能をその場で作成し、すぐに試し、改善を加えるといった「スピード重視の改善サイクル」が求められます。
このようなサイクルを実現するうえで、ノーコードやローコードは非常に有効な手段といえるでしょう。
たとえば、営業チームが必要とする日報アプリを、わずか3日ほどで作成し、その後1週間運用してみて改善点を反映させるといった活用も可能です。
このように、実務の現場が自ら開発・運用を進められることで、PDCAサイクルのスピードが格段に上がります。
従来であれば、外部の開発会社に依頼していた工程も、内製化することでコストや時間を大幅に削減できるようになります。
その結果、外注では難しかったスピード感と柔軟性を手に入れられるため、ノーコードやローコードの導入を進める企業が増えているのです。
ノーコード・ローコードのメリット
ノーコードやローコードは、専門的なスキルがない現場の担当者でもプログラミング不要で業務アプリを作成できることから、導入のハードルが低く、現場主導で開発を進められる手法として注目を集めています。
ここでは、期待されている主なメリットを紹介します。
- ノーコードのメリット
- ローコードのメリット
業務効率化を進めたい方は、どちらの手法が自社に合っているかを比較してみましょう。
ノーコードのメリット
ノーコードの主なメリットは以下の通りです。
- 専門知識を必要としない
- 開発・運用コストの削減
- 開発スピードの速さ
- 現場のアイデアを直接反映しやすい
- テスト・修正が容易
ノーコードの最大の魅力は、プログラミングの経験がなくても、アプリや業務ツールを作成できる点にあります。
たとえば、プラスAppsのように完全ノーコードで操作できるツールを使えば、直感的に業務アプリを構築できます。
現場の担当者自身がテンプレートやパーツを組み合わせて構築できるため、対応スピードを大幅に向上させることが可能です。
さらに、外注費が発生しない分、開発コストも抑えやすく、特に中小企業やスタートアップなど、限られた予算で成果を出したい企業にとっては導入しやすいのも大きな特長といえます。
加えて、多くのノーコードツールには、ドラッグ&ドロップによる直感的な操作性が備わっており、数日〜数週間という短期間でアプリを形にすることも珍しくありません。
こうした手軽さから、現場主導でスピーディーに開発を進められ、実際の業務フローに即した設計を反映しやすくなります。
また、運用後の改善や修正も柔軟に対応できるため、継続的な業務改善にもつながるのが魅力です。
その結果、小規模な業務改善や社内ツールの内製化を目指す企業にとって、ノーコードは非常に現実的かつ効果的な選択肢となりつつあります。
ローコードのメリット
ローコードの主なメリットは以下の通りです。
- 汎用性・拡張性が高い
- 既存システムとの連携が容易
- 大規模開発や複雑な要件にも柔軟に対応しやすい
- 利用目的が限定的にならない
ローコードは、基本操作を画面上で完結させつつ、必要な部分だけをコードで補完できる柔軟な開発スタイルです。
ノーコードでは対応できない複雑な処理や高度な連携にも対応できるため、中規模〜大規模なプロジェクトにも活用されています。
たとえば、社内の在庫管理システムと外部の販売サイトをリアルタイムで連携させたい場合など、APIを活用したスムーズな統合が可能です。
ローコード開発では、あらかじめ用意されたテンプレートをベースにしつつ、自社の要件や業務フローに合わせて柔軟にカスタマイズできます。
また、既存システムとの互換性が高いため、新たに全体を作り直すのではなく、既存のIT資産を活かした開発ができる点も魅力です。
こうした特徴から、目的がはっきりしている小規模アプリはもちろん、複数部署で活用される基幹システムの一部開発にも対応できます。
部分的にエンジニアのサポートが必要になる場面はあるものの、その分、品質の高いシステムを比較的短期間で導入できるのが、ローコードの強みです。
ノーコード・ローコードのデメリット
ノーコード・ローコードは便利な開発手法として広く使われるようになってきましたが、導入前に押さえておくべき注意点もあります。
開発スピードの速さやコスト面での効果は魅力的ですが、その一方で機能の自由度やシステムの拡張性に限界が出てくることもあります。
さらに、導入するツールやサービスの仕様が、自社の運用ルールやセキュリティ要件と合わないケースもあるため、事前の確認が欠かせません。
ここでは、ノーコードとローコード、それぞれの開発スタイルに見られる主なデメリットについて解説していきます。
- ノーコードのデメリット
- ローコードのデメリット
導入を検討する際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向け、自社のニーズに合った方法を選びましょう。
ノーコードのデメリット
ノーコードのデメリットは以下の3つです。
- 大規模・高機能開発には向いていない
- 機能面の自由度や拡張性の限界
- ツールやプラットフォームへの依存度が高い
ノーコードは、あらかじめ用意されたパーツを組み合わせてアプリを構築する仕組みのため、複雑な処理や高度な設計が求められる大規模な開発にはあまり適していません。
たとえば、部署をまたぐような複雑に入り組んだワークフローや、大量のデータを活用した分析機能を含む業務アプリを構築しようとすると、設計の自由度が足りず、要件に応じた開発が難しくなるケースがあります。
また、細かな動作条件の設定や、デザイン面で細部までこだわりたい場合には、思いどおりに仕上げられないこともあるでしょう。
さらに、多くのノーコードツールは特定のプラットフォームに依存しているため、提供元の仕様変更やサービス終了などが発生すると、システム全体に影響を及ぼすリスクも否定できません。
その点を踏まえると、依存リスクを最小限に抑えるための対策もあらかじめ検討しておく必要があります。
セキュリティ面においても注意が必要です。
ツールによって管理機能の範囲や対応レベルが異なるため、自社のセキュリティポリシーに適合しない場合には、導入そのものが難しくなることも考えられます。
このように、ノーコードはスピーディかつ手軽にアプリを導入できる点が魅力ですが、長期的かつ安定的に業務へ活用していくには、導入目的や求める要件との整合性をしっかり確認したうえで、慎重に選定することが大切です。
ローコードのデメリット
ローコードのデメリットは以下の4点です。
- ある程度のプログラミング知識が必要
- 実装できる機能に制限が出る場合がある
- ツールに高いコストがかかる場合がある
- 細かなUI/UXを作り込む際に制約が生じる
ローコードは、画面上の操作でアプリを構築しながら、必要に応じて一部にコードを加えることで、柔軟な開発を実現できる仕組みです。
視覚的に操作できる点が大きな魅力ですが、複雑な分岐処理や業務ロジックを設計する場面では、ある程度のプログラミング知識が求められるケースもあります。
たとえば、顧客の属性に応じて処理内容を変えるようなアプリでは、条件分岐をコードで実装する必要があり、ノーコードよりも技術的な理解が必要になるでしょう。
加えて、利用するツールによっては、そもそも搭載されている機能に制限があるため、やりたいことがすべて実現できるとは限りません。
特定の業務フローを忠実に再現したい場合でも、機能の不足や設定項目の制約により、対応が難しくなるケースも少なくないのが現実です。
このため、ツール選定の際には、開発内容との相性の見極めが重要です。
また、ローコードツールの中には月額料金や初期導入費用が比較的高額なものもあるため、必要な機能とコストのバランスを見ながら、導入を慎重に検討する必要があります。
さらに、UIやUXの設計にこだわりたい場合には注意が必要です。
テンプレート構造に縛られることで、細部のデザインに自由が利かず、理想通りの仕上がりにならないことも考えられます。
このように、ローコードには多くのメリットがある一方で、用途や目的によっては制約もあるため、自社の要件に合ったツール選びと事前の確認が欠かせません。
ノーコード開発が向いている用途
ノーコード開発は、専門的なスキルがなくてもアイデアをすぐに形にできるため、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
以下の表は、ノーコードが特に効果を発揮する用途をまとめたものです。
用途 | 主な目的・特徴 |
業務効率ツールの作成 | 見積書作成、売上管理、社内データの一元管理など |
Webサイト・ECサイト制作 | テンプレート活用でデザイン性と操作性を両立できる |
アプリの開発 | 顧客管理・決済機能付きアプリも構築可能 |
ノーコードは、業務効率化ツールの構築にとても適した手法です。
たとえば、売上データの集計や見積書の作成、ドキュメントの共有・管理といった日々の定型業務を自動化することで、作業時間を大幅に短縮できます。
さらに、社内の情報をデータベース化して可視化することで、業務のボトルネックを見つけやすくなり、改善のヒントを得やすくなります。
こうした仕組みを取り入れることで、現場の課題にも迅速に対応できるようになるでしょう。
ノーコードは業務支援だけでなく、WebサイトやECサイトの制作にも幅広く活用されています。
HTMLやCSSなどの専門知識がなくても、あらかじめ用意されたテンプレートやビジュアル編集機能を使えば、デザイン性の高いページを作成できます。
加えて、アクセス解析やメール配信などのマーケティング機能を組み込めるツールも多いため、制作後の運用や効果測定までを見越した設計ができるのも魅力です。
また、アプリの開発にも対応しており、予約受付や顧客管理といった機能を備えた業務用アプリから、決済機能を搭載した商用アプリまで開発できます。
開発したアプリをアプリストアに公開すれば、サービスの拡張や新規事業の立ち上げにもつながるでしょう。
このように、ノーコード開発はスピード感と柔軟性の両立が求められる場面において、大きな効果を発揮します。
ローコード開発が向いている用途
ローコード開発は、スピードと柔軟性の両立を求める場面に適しています。画面上で操作できるうえに、必要に応じてコードを補完できるため、現場主導での開発とエンジニアのサポートを両立させやすい点が特徴です。
以下の表に主な目的と特徴をまとめています。
用途 | 主な目的・特徴 |
中規模の業務アプリ開発 | 営業管理、在庫管理、顧客管理などを短期間で構築できる |
プロトタイプ・PoCの作成 | 初期段階でアプリを形にし、改善を繰り返す開発に適している |
ビジネス部門主導の開発 | 現場担当者がUIや業務ロジックを調整できる |
既存システムとの連携 | APIやデータベースを活用し、既存資産を活かした開発が可能 |
開発リソース不足への対応 | 非エンジニアも参加でき、人的リソースを補完できる |
短期間での機能追加・改修 | 市場や業務の変化にスピーディに対応できる |
たとえば、営業部門が使う日報アプリを短期間で作成し、実際に現場で使いながら改善していくような場面では、ローコードのスピード感と拡張性が活きてきます。
開発経験がないビジネス部門のメンバーでも、画面レイアウトの修正や簡単なワークフロー調整などにかかわれるため、現場の意見を即座に反映しやすくなります。
さらに、既存のデータベースや他の業務システムと連携しやすい点も、ローコードの魅力です。
APIを使って社内の情報を自動で連携すれば、手作業によるミスを減らしながら業務効率を高められます。
このように、ローコードはスピードを求めつつ、柔軟な設計変更にも対応したい現場にとって、現実的で使いやすい手法です。
ノーコード・ローコードツールを選ぶときのポイント
ノーコード・ローコード開発を成功させるには、目的に合ったツールを選ぶことが重要です。
操作が簡単でスピード感のある開発ができることはもちろん、実際の業務に必要な機能が揃っているか、セキュリティや運用の観点でも無理がないかをしっかり確認する必要があります。
導入後に「やりたいことができなかった」とならないよう、導入前に以下のポイントをチェックしておきましょう。
- 用途や機能が自社に見合っているか
- セキュリティポリシー・拡張性・ガバナンス面
- サポート体制の充実度
- コスト・ライセンス形態
用途や機能が自社に見合っているか
まずは、そのツールが自社の用途や目的に合っているかを確認することが大切です。
ツールごとに得意な領域は異なり「フォーム作成には強いけれど、ワークフローの自動化は苦手」といったように、機能面に偏りがあることも珍しくありません。
導入後に「必要な機能がなかった…」とならないよう、業務フローとの相性を見極めたうえで選定することが重要です。
たとえば、営業部門で使う顧客管理アプリを作りたい場合は、モバイル対応や、検索・絞り込み機能の精度が重要になります。
一方、経理部門向けのツールであれば、帳票の出力や、承認フローを自動化できる仕組みが必要になるケースもあるでしょう。
ツール選びで迷ったときは、以下のような観点から必要な機能を整理しておくと判断しやすくなります。
- 自社の業務フローに対応できる機能があるか
- 将来的に大規模な開発にも耐えられる設計か
- モバイル端末での操作や利用に対応しているか
- 承認フローや通知など、ワークフロー構築に必要な要素が揃っているか
まずは導入の目的を明確にし、「何を実現したいのか」「どんな機能が欠かせないのか」を言語化してから選ぶことで、失敗のないツール選定につながります。
セキュリティポリシー・拡張性・ガバナンス面
セキュリティやガバナンスの観点は、ツール選定において見逃せない重要なポイントです。
特に、社内で顧客データや人事情報など機密性の高い情報を扱っている場合は、導入を検討しているツールが自社のセキュリティポリシーに適合しているか、事前にしっかり確認しておく必要があります。
また、データベースとの連携や外部サービスとのAPI接続を行う際には、アクセス権の管理や通信の暗号化に対応しているかどうかもチェックが欠かせません。
さらに、複数の部署やチームで運用する場合には、ユーザーごとの権限設定や操作履歴を記録できる機能が備わっているかといった、ガバナンス機能の有無も重要な判断材料になります。
ツール選定時に確認すべき主なチェックポイントは、以下のとおりです。
- 自社のセキュリティ基準に準拠しているか
- データベース間の連携に対応しているか
- 権限設定・履歴管理など、ガバナンス機能を備えているか
これらの項目を、システム部門や情報管理担当と連携しながら丁寧に確認し、導入の可否を慎重に判断することが、トラブルを未然に防ぐうえでも非常に重要です。
サポート体制の充実度
ツールを導入したあと、思いがけない不具合が起きたり、操作方法に戸惑ったりする場面は少なくありません。
そのため、スムーズな運用を続けていくには、サポート体制がどれだけ充実しているかを事前に確認しておくことが大切です。
たとえば、操作マニュアルがしっかり整備されているか、ヘルプデスクはどの時間帯に対応しているか、問い合わせへの返信スピードは信頼できるか、といった点は必ずチェックしておきたいところです。
また、ユーザー同士で情報交換ができるコミュニティや、FAQページがこまめに更新されているかどうかも、サポートの実用性を判断するうえで役立ちます。
サポートの質はツールの使いやすさに直結しており、特に長く使い続けるには、困ったときにすぐ相談できる体制が整っているかどうかが重要なポイントになります。
コスト・ライセンス形態
ノーコード・ローコードツールの料金体系は、ツールごとに大きく異なります。
初期費用の有無に加え、月額料金の設定や、ユーザー数・機能ごとに課金が変わるケースも多いため、導入前にプランの詳細をしっかり確認しておくことが大切です。
特に、プロトタイプ作成やPoC(概念実証)から試したい場合は、無料トライアルや期間限定ライセンスがあるかどうかをチェックしておくと、初期リスクを抑えながら導入を進められます。
費用をかけすぎずに始めるためにも、まずは自社の予算に見合ったプランがあるかを確認し、長期的に活用できるかどうかという視点でコスト管理を意識することがポイントです。
ノーコード・ローコードツールおすすめ3選
ノーコード・ローコード開発を始める際には、自社の課題や目的に合ったツールを選ぶことが欠かせません。
操作性・機能性・拡張性のバランスを見極めることで、導入後の定着率や活用効果に大きな差が出ます。
以下では、特に導入しやすく評価も高いノーコード・ローコードツールを3つ紹介します。
- プラスApps
- kintone
- bubble
導入目的に合った特徴を比較しながら、最適なツールを見つけてください。
プラスApps
プラスAppsは、プログラミングの知識がなくても業務アプリを構築できるクラウド型のノーコードツールです。
「DXの民主化」を掲げ、現場の担当者でも業務フローの自動化や改善が進められる点が、魅力です。
なかでも特徴的なのが、データ連携の柔軟性です。
多くのノーコード・ローコードツールは単一のデータベースを用いた業務アプリに限られていますが、プラスAppsは複数のデータベースをまたいで情報を統合管理できるため、部門横断での業務設計にも利用できます。
また、APIを呼び出すことも可能であるため、外部サービスとの連携も処理に組み込むことができます。
さらに、ワークフローの構築やバッチ処理、自動通知の設定といった操作も直感的に行えるため、日々の業務負担を減らしたい企業にとっては非常に扱いやすいツールといえます。
たとえば、既存システムではカバーしきれない自社特有の業務フローがある場合、補完ツールとして導入すれば、オーバースペックな専用システムを導入するより効率的です。
必要な機能だけに絞って構成できるので、開発コストを抑えながら実務にフィットするシステムを構築できます。
プラスAppsでは、無料トライアルが用意されているため、導入前に実際の操作感や機能性を確認できます。

kintone
kintone(キントーン)は、サイボウズが提供するノーコード・ローコード対応の業務アプリ作成ツールです。
プログラミングの知識がなくてもアプリが作れるため、現場の担当者自身が業務に合わせたシステムを構築できる点が、多くの企業から高く評価されています。
すでに導入実績は30,000社以上。しかも、その9割以上が非IT部門による導入というデータからも、現場主導で使えるツールであることがわかります。
アプリの作成は、ドラッグ&ドロップのシンプルな操作で進められるため、エクセルや紙ベースで行っていた非効率な業務も、スムーズにデジタル化することが可能です。
さらに、クラウド型なのでPCだけでなく、スマホやタブレットからもアクセスでき、テレワークや外出先での作業にも柔軟に対応できます。
また、追加費用がかかる場合もありますが、300以上のプラグインやAPIとの連携機能を活用することで、業務内容やチームの運用に合わせたカスタマイズも自由自在です。
kintoneは30日間無料のお試し期間があるので、気になる方は一度使ってみてはいかがでしょう。

bubble
Bubble(バブル)は、Webアプリ開発に特化したノーコードツールで、世界中の開発者や企業から注目を集めています。
プログラミングの知識がなくても、画面上でパーツをドラッグ&ドロップするだけで操作できるため、初心者でも直感的に扱えるのが大きな魅力です。
高いカスタマイズ性を備えており、複雑な業務フローや独自の機能を反映したアプリの開発にも柔軟に対応できます。
さらに、APIとの連携やカスタムデータベースの構築、視覚的なワークフロー設計といった機能も充実。
支払い機能や地図表示などを簡単に追加できるプラグインも豊富にそろっています。
一方で、SEOや複数人による大規模開発には不向きな面もあるため、用途や開発規模に合わせて適切に見極めることが求められます。
とはいえ、スピードとコストを重視する個人開発やスタートアップにとっては、開発のハードルを大きく下げてくれる心強いツールといえるでしょう。

【導入事例】プラスAppsを使ってノーコード・ローコードでDXを加速
プラスAppsは、現場主導で業務改善を進めたい企業に適したノーコードツールです。
営業、契約、採用、支払など、幅広い業務をひとつのプラットフォームに集約することで、部門間の連携を強化しながらDXの推進を支えています。
営業管理の分野では、受注内容の記録から超過控除の計算、freeeとの連携による請求書発行、支払管理に至るまで、一連の業務が自動化されています。
さらに、契約が延長された際の処理もスムーズに対応できる仕組みが整っており、実務の手間を軽減しています。
バックオフィスのタスク管理にも利用されています。
契約書の管理やリーガルチェックはもちろん、日々発生する細かなタスクも一覧で整理されており、複数のメンバーで分担・共有しながら対応できるようになっています。
加えて、採用、情シス、営業といった他部署から連携されるタスクも自動で追加されるため、連携ミスやタスクの重複を避けられます。
また、毎月発生する定常業務や年次で発生する業務も、バッチ処理によって自動でタスク化されるため、抜けや遅れのリスクを低減できる点も見逃せません。
ノーコードツールやローコードツールの導入によって、属人化しやすい業務を可視化できるようになり、チーム全体で業務を共有・遂行する体制づくりがしやすくなります。
「まずは使ってみたい、相談してみたい」という場合は、プラスAppsの無料トライアルを利用してみてください。
ノーコード・ローコード導入時の注意点
ノーコード・ローコードの導入は、開発スピードやコスト面で多くのメリットがあります。
ただし、ツールを導入しただけでは効果は出ません。
以下の注意点を事前に押さえておくことで、継続的に活用できる環境を作りやすくなります。
- 運用・保守体制がないと現場に定着しない
- 社内教育と人材育成
- ベンダーロックイン・プラットフォーム依存のリスク
- セキュリティとガバナンス
運用・保守体制がないと現場に定着しない
運用や保守体制が整っていない状態でツールを導入してしまうと、現場にうまく浸透せず、思うように活用されないケースも少なくありません。
せっかく導入したにもかかわらず、現場で使われなくなってしまうのは大きな損失といえるでしょう。
アプリは公開して終わりではなく、その後も不具合への対応やバージョンアップへの追従など、継続的なメンテナンスが必要になります。
この点を軽視してしまうと、安定的な運用に支障が出てしまう可能性があります。
また、誰がメンテナンスを担当するのかを事前に明確にしておかないと、トラブルが発生した際に対応が遅れ、現場からの信頼を失う結果になりかねません。
特に緊急対応が求められる場面では、責任の所在が曖昧だと混乱が生じやすくなります。
リリース直後に発生した入力エラーに対して、担当者が不在だったため、修正までに数週間かかってしまうといった可能性もあります。
このような事態を防ぐには、導入前の準備段階でしっかりと体制を整えておくことが不可欠です。
具体的には、アプリの管理者をあらかじめ決めておくとともに、定期的にメンテナンス体制や運用フローを見直すことが重要です。
社内教育と人材育成
ノーコード・ローコードを社内に根付かせるためには、まず社員がツールの操作に慣れるための環境づくりが欠かせません。
特に非IT部門が主導する場合、使い方がわからないままだと、せっかく導入したツールも活用されずに終わってしまう恐れがあります。
その対策として、基本操作を学べる研修を実施したり、社内用のマニュアルを整備したりすることが効果的です。
さらに、定期的な勉強会や他部署の活用事例を共有する場を設ければ、社内全体でツール活用への意識が高まりやすくなります。
知識をオープンに共有できる環境があれば、チーム内でも自然と学び合いが生まれます。
こうした学習の土壌が整ってこそ、現場は自発的にツールを活かし、業務の改善に取り組めるようになるのです。
ノーコード・ローコードを「使える仕組み」に変えていくには、教育と人材育成が何よりも重要です。
ベンダーロックイン・プラットフォーム依存のリスク
ノーコード・ローコードツールを導入する際には、ベンダーへの依存リスクについても、あらかじめ想定しておくことが大切です。
特定のプラットフォームに過度に依存してしまうと、ライセンス契約の終了やサポートの打ち切りといった事態が発生した際に、業務に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
また、将来的に別のツールへ移行しようとした場合、データの移行がスムーズに進まなかったり、必要な機能に互換性がなかったりするケースも考えられます。
たとえば、外部システムと連携していたアプリを別の環境に移行したところ、APIの仕様が異なっていたため、一部機能を再構築する必要が出てくるでしょう。
このようなトラブルを避けるためにも、ツールを長期的に運用していくことを見据えて、移行のしやすさやデータのエクスポート機能が備わっているかを事前に確認しておくことが重要です。
導入後に後悔しないためにも、このような視点は欠かせません。
セキュリティとガバナンス
業務アプリには顧客情報や社内の重要データなど機密性の高い情報が含まれているため、ノーコード・ローコードツールを導入する際にはセキュリティ面にも十分な注意が必要です。
たとえば、アクセス権限の設定が不十分だと、本来見るべきでない社員まで機密情報にアクセスできてしまう恐れがあります。
また、操作ログが記録されていない場合、トラブルが発生しても原因の特定が難しくなります。
こうしたリスクを防ぐには、アクセス制限のルールを明確にし、定期的に監査ログを確認する体制を整えることが重要です。
安心してツールを活用し続けるためには、導入時点でセキュリティ対策を徹底しておくことが欠かせません。
システム面の安全性だけでなく、運用ルールの整備まで含めて、リスクを多角的に見直しておきましょう。
ノーコード・ローコードの将来性とトレンド
ノーコード・ローコードは、今後のIT開発を担う主流の技術として注目を集めています。
その背景には、深刻化するIT人材の不足に加え、企業全体で加速しているDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れがあります。
これまでシステム開発は専門のエンジニアにしか扱えなかった領域でしたが、ノーコード・ローコードの登場により、現場の担当者でもアプリ開発にかかわれるようになってきました。
こうした変化によって導入のハードルが大きく下がり、現在では業種や職種を問わず、さまざまな現場で活用が進みつつあります。
市場規模の拡大も見逃せません。
日本国内では2025年度に1,000億円を超え、2026年度には1,330億円に達する見込みです。世界市場では、2023年の約315億ドルから、2028年には1,100億ドルを超えると予測されています。
このような成長を支える要素のひとつが、「市民開発者」の存在です。IT部門ではなく、現場のスタッフが主導してアプリを作る流れが定着し始めており、現場の課題に即した改善がスピーディに進められるようになっています。2025年には、エンタープライズアプリの約70%がノーコードやローコードで構築されると見込まれています。
さらに、AIとの連携も大きなトレンドです。生成AIの導入により、コードの自動生成やワークフロー設計、テスト工程の支援まで自動化が進み、開発効率の向上につながっています。
ただし、どのような開発にも対応できるわけではありません。高い性能や複雑な構成が必要なシステムでは、従来の開発手法が適している場面もあります。また、日本語対応やサポート体制に課題があるツールも一部に存在するため、導入前の見極めが欠かせません。
今後もノーコード・ローコードは進化を続け、より多くの現場で活用されていくでしょう。非IT部門を含めた幅広い人材がかかわれる開発環境として、業務改善や生産性向上を支える鍵となっていきます。
ノーコード・ローコードに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、ノーコード・ローコードを導入する前によくある3つの質問について解説していきます。
- 全くプログラミングの知識がなくても、本当にノーコードツールで開発できますか?
- ローコードは結局コードが必要と聞きますが、初心者には難しくないですか?
- ノーコードとローコードのどちらを選ぶべきか迷っています。どう決めればいいですか?
全くプログラミングの知識がなくても、本当にノーコードツールで開発できますか?
ノーコードツールは、プログラミングの知識がなくても開発が可能です。
画面上でパーツをドラッグ&ドロップし、直感的に操作する仕組みなので、ITに慣れていない方でも始めやすい設計になっています。業務アプリの作成に必要な機能は、あらかじめテンプレートとして用意されており、最初から高度な設計を意識する必要もありません。
ローコードは結局コードが必要と聞きますが、初心者には難しくないですか?
ローコードは、基本的な操作はノーコードと同様に画面上の操作で開発できますが、細かなカスタマイズにはコードの記述が求められる場合があります。
ただし、その内容は「すべてを自分で書く」ほど複雑なものではなく、既存のテンプレートや設定項目を一部調整するレベルで対応できることも多いです。
たとえば、表示条件を変えたい場面では「○○の場合にこの項目を表示する」といった簡易的なロジック設定で十分です。ツールによっては、補助機能や自動補完があるため、初心者でもチャレンジしやすい環境が整っています。
ノーコードとローコードのどちらを選ぶべきか迷っています。どう決めればいいですか?
ノーコードとローコードで迷った場合、プロジェクトの規模や目的によって選択肢が変わります。
まず、プログラミング知識がまったくないチームで、簡易的な業務ツールをスピーディに導入したい場合は、ノーコードが向いています。
テンプレートを活用しながら現場主導で開発できるため、内製化を進めたい中小企業には特におすすめです。
一方、既存システムとの連携や独自の処理を加えたい場合は、ローコードが適しています。
APIとの接続や細かな条件分岐を扱う場合、ローコードの柔軟性が活きるでしょう。
まとめ
本記事では、ノーコードとローコードのメリット・デメリットから導入時の注意点、そして市場の成長性や生成AIとの連携といった最新トレンドまで、幅広く解説しました。
- 業務効率化、Webサイト制作、アプリ開発など、幅広い用途で活用されている
- 導入時には、運用体制や社内教育、セキュリティなど複数の視点での準備が不可欠
- 市場は今後も拡大が続き、生成AIとの連携や市民開発者の増加がトレンドとして注目されている
導入の効果を最大限に引き出すためには、まず自社の課題を明確にし、それに適したツールを選定することが大切です。
あわせて、運用フローの設計や教育体制の整備にも取り組む必要があります。いきなり全社導入を目指すのではなく、まずはチーム内の特定の業務など、小規模なアプリ開発からスタートしてみるのが現実的です。
「まずは試してみたい」という方には、無料トライアルを提供している「プラスApps」を活用してみるのもおすすめです。