「エクセルの代替ツールを導入して、業務を改善したい」とお考えではありませんか?
エクセルは表計算ソフトの代表格として多くの企業で使用されていますが、ライセンス費用の負担や操作性の問題から、代替ツールの導入を検討する企業が増えています。
本記事では、エクセルの代わりに使えるツールを厳選して8本紹介します。
エクセルの代替ツールを導入するメリットやツールの選び方も詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
表計算ソフトのシェア
表計算ソフト市場では、エクセルが圧倒的なシェアを持っているのが現状です。
株式会社GO TO MARKETの調査によると、ビジネスにおける表計算ソフト利用率は61.9%であり、その中でもエクセルが76%のシェアを占めるとされています。
しかし、近年ではクラウド型ツールの普及により、Googleスプレッドシートやその他の代替ツールが着実にシェアを伸ばしています。
参考:PR TIMES|表計算ソフトの利用に関する調査(2024年4月)
エクセルの代わりが求められるようになった背景
現在においても高いシェアを誇るエクセルですが、昨今の業務改善やIT化が進む中で、「エクセルに限界を感じる」というケースが増えてきています。
その一例がエクセルの同時編集です。
これまでエクセルは個人のPCで利用され、完成形がメールで共有されるのが一般的でした。しかし最近では、複数人が同時に編集する業務でもエクセルが多く使われています。
Excelでもオンライン同時編集は可能になりましたが、他者の操作で画面が更新されて編集しづらくなったり、ファイルの破損・上書きによるデータ損失のリスクが高まるといった問題も生じています。
また、関数やマクロなどは特定スキルのある人しか編集できず、属人化が進みがちです。担当者が異動や退職によってシステム全体の維持管理が困難になるケースもあります。
さらに、複数人で扱う大規模な業務では、Excelデータの肥大化により処理が重くなり、業務遅延などのトラブルに繋がることもあります。
これらのトラブルからエクセルより適したツールを求める需要が高まり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の時流もあいまって、エクセルの限界に対する代替手段となる新たな選択肢に注目が集まっています。
エクセルの代わりに使えるツール8選
エクセルの代わりに使える、おすすめのツールは以下の8つです。
- プラスApps
- Kintone
- Airtable
- PigeonCloud
- 楽々Webデータベース
- Google スプレッドシート
- AppSheet
- Notion
ここでは、各ツールの基本情報に加えて、特徴や使い勝手を詳しく解説します。自社にあった代替ツールを選ぶ際の参考にしてください。
プラスApps
プラスAppsは、プログラミング知識がなくても、自社専用の業務アプリを構築できるノーコードツールです。
画面操作による設定だけでアプリケーションを作成し、ニーズに合わせて項目やワークフローを自由にカスタマイズできます。
特にデータ連携とバッチ処理の柔軟性が強みです。
複数のデータベースを組み合わせたデータ連携ができ、条件分岐やスケジュール設定による自動実行も可能なため、他のツールではプログラミングを組み込む必要があるレベルの複雑な業務フローも視覚的に構築できます。
必要な機能にだけ絞り込み、オーバースペックを解消している点もプラスAppsのならではの特徴です。基本プランは1ユーザーあたり、月額300円から利用できます。

kintone
kintoneは、サイボウズが提供するノーコードで業務アプリを作成できるノーコードツールです。
プラスApps同様、プログラミング知識がなくてもドラッグアンドドロップの直感的な操作で、さまざまな業務アプリを構築できます。
また、プログラミングのスキルがあれば、ノーコードで対応しづらい一部の複雑な業務機能をJavaScriptなどで実装することも可能です。
作成したアプリのデータはリアルタイムで共有され、業務全体の見える化に役立ちます。
Kintoneは、社内外のコミュニケーションもシンプル化され、データに紐付けたやり取りやステータス管理もボタン一つで完結します。
また、300種類以上のプラグインや外部サービス連携により機能拡張も容易です。

Airtable
Airtableは、スプレッドシートの操作性とリレーショナルデータベースの柔軟性を兼ね備えたノーコードデータベースツールです。
プログラミング知識不要でデータベースを構築でき、豊富なテンプレートから業務に適したものを選択して利用を開始できます。
Airtableは、テーブル同士をリンクして関係性のあるデータを直感的に整理でき、グリッド、カレンダー、ギャラリー、カンバンなど多様な表示形式に切り替え可能です。
また、バックアップ機能やデータ変更履歴機能も標準装備されており、APIや外部サービスとの連携により機能拡張も容易です。

PigeonCloud
PigeonCloudは、社内のあらゆるデータをお手軽にWebデータベース化できるクラウドサービスです。
ノーコードで企業向けWebデータベースツールとして機能し、PC・スマートフォン・タブレットで利用可能です。
また、PigeonCloudは、他サービスでは有料アドオンとなる以下の機能を標準搭載しています。
- カレンダー表示
- 高度なチャート機能
- テーブルのグループ化
- ルックアップ自動更新
- 高度な集計機能
30以上の関数を用いたIF文などの複雑な計算式にも対応しており、データ単位でのコメント機能やワークフロー設定も可能です。
楽々Webデータベース
楽々Webデータベースは、住友電工情報システムが提供するノーコード型のエクセル業務効率化支援ツールです。
既存のエクセルファイルを取り込むだけで簡単にWebアプリ化できるため、プログラミング知識は必要ありません。また、以下の機能を標準装備している点も特徴です。
- 共同編集機能
- ワークフロー機能
- データの可視化・集計機能
- 履歴管理機能
- 他システム連携機能
楽々Webデータベースを活用すれば、発注管理や顧客管理、売上管理など、さまざまな業務を効率化できるでしょう。

Google スプレッドシート
Google スプレッドシートは、Googleが提供するクラウド型表計算ソフトです。
エクセルとほぼ同等の操作感を持ちながら、複数人によるリアルタイム共同編集機能が標準搭載されているのが特徴です。
関数ライブラリも豊富で、VLOOKUP、SUMIF、ピボットテーブルなどの高度な機能も利用可能です。
アドオンによる機能拡張にも対応しており、Gmail、Googleカレンダーと連携させると、業務効率を大幅に向上させられるため、Googleのツールを利用する会社であればエクセルよりも扱いやすいでしょう。
ただし、同時編集における限界などは、エクセルと同様にスプレッドシートにも存在します。そのため、解決したい課題をスプレッドシートで本当に解決できるか、慎重に判断する必要があります。
次に紹介するAppSheetと組み合わせることで、問題解決につながるかもしれません。
AppSheet
AppSheetは、Googleが提供するノーコードアプリ開発プラットフォームです。
プログラミング知識がなくても、Google スプレッドシートやエクセルなどの既存データを活用して、直感的な操作でアプリケーションを構築できます。
AppSheetは、データの表示形式のカスタマイズ、入力フォームの作成、自動通知の設定など、機能が豊富に搭載されている点も特徴です。
また、無料プランから利用開始できる点も、AppSheetの魅力です。

Notion
これまでと少し違うタイプのツールですが、利用用途によってはNotionもおすすめです。
Notionは、データベース管理やタスク管理、プロジェクト管理などの機能を統合した、オールインワン型のワークスペースです。
AIを活用したミーティングノート自動生成、エンタープライズ検索による社内ナレッジの横断検索、プロジェクト管理、メール統合機能などが搭載されています。
Notionは、個人からチーム、企業全体まで規模を問わず利用でき、エクセルを含むさまざまな外部サービスとの連携も可能です。
また、ブロック形式の直感的なエディタにより、文書作成からデータベース構築まで柔軟に対応できます。

エクセル以外のツールを導入するメリット
エクセル以外のツールを導入するメリットは、以下のとおりです。
- データを一元管理できる
- 業務を自動化・効率化できる
- チームでのコラボレーションが容易になる
- 拡張性が高い
- モバイル端末での操作性が高い
近年では、プログラミングの知識がなくとも自社システムを開発できるツールが登場し、従来の課題を解決する選択肢が広がっています。
ここでは、エクセル以外のツールを導入するメリットを詳しく解説します。
データを一元管理できる
エクセルでは複数のファイルに分散しがちなデータを、代替ツールなら一つのプラットフォームで一元管理が可能です。
データを一元管理すれば、従来のようにファイルを探し回ったり、最新版かわからなくなったりする問題を解決できます。
また、クラウドベースのツールであれば、どこからでも最新のデータにアクセスでき、常に同じ情報を全員が共有できます。
データ量や関数の肥大化で処理が重くなる問題も、データベース管理になることで解決につながるでしょう。
バックアップや履歴管理のできるツールも多いため、データ紛失のリスクなども軽減されます。
業務を自動化・効率化できる
業務に最適化されたツールを導入すれば、エクセルにはない高度な自動化機能が搭載されている場合が多いです。
例えば、データの入力と同時に関連する処理を自動実行したり、特定の条件を満たした際にアラートを送信したりする機能が存在します。
ワークフロー機能を活用すれば、承認プロセスや通知システムも自動化でき、手作業による時間の浪費を削減できるでしょう。
また、外部システムとの連携により、データの転記作業や重複入力を防ぐことも可能です。
チームでのコラボレーションが容易になる
前述のとおり、エクセルではファイルの同時編集による問題が発生する場合がありますが、代替ツールの多くはリアルタイムでの共同編集機能を標準搭載しています。
共同編集機能が備わっていれば、複数のメンバーが同時に作業でき、変更内容はリアルタイムでファイルに反映されます。
また、コメント機能やチャット機能により、データに関する議論や質問もその場で行えるため、メールや口頭でのやり取りも不要です。
権限管理機能を活用すれば、データの閲覧・編集権限を細かく設定できるため、セキュリティを保ちながら効率的な共同作業を実現できます。
拡張性が高い
代替ツールでは、プラグインやアドオンによる機能拡張が可能なものもあります。これらを活用することで、エクセルでは実現できない専門的な機能や、自社特有の要件にも柔軟に対応できるでしょう。
API連携に対応していれば外部システムとのデータ連携もできるため、データを一貫して管理できるようになります。
また、代替ツールはユーザー数の増加に応じてスケールアップも可能で、企業の成長に合わせてシステムを拡張していける点も魅力です。
現場目線のシステムを活用できる
多くの代替ツールは、ノーコード・ローコードの開発環境を提供しており、IT部門に依存することなく現場担当者が自らシステムを構築できます。
実際に業務を行っている担当者が直接システムを作成できると、現場のニーズを正確に反映したツールを構築可能です。
また、プログラミング知識がなくても、ドラッグアンドドロップ操作でシステムを構築できるため、日々の業務をこなしながら都度最適化していけるでしょう。
モバイル端末やブラウザでの操作性が高い
ツール専用のモバイルアプリは、タッチ操作に最適化されたインターフェースにより、小さな画面でも見やすく操作しやすい点が特徴です。
オフライン機能を搭載したツールであれば、インターネット接続がない環境でも作業でき、接続復旧時に自動同期されます。
また、専用アプリであれば、営業担当者が客先でデータを確認・入力したり、現場作業者がリアルタイムで情報を更新したりできるため、業務の機動性が向上します。
プッシュ通知機能により、重要な更新や承認依頼を即座に受け取ることも可能です。
エクセルの代替ツールを選ぶ際のポイント
エクセルの代替ツールを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 使用目的と機能が合っているか
- エクセルと互換性があるか
- クラウド型かローカル型か
- 動作が軽く安定しているか
ここでは、エクセルの代替ツールを選ぶ際に注目すべきポイントを解説します。
使用環境や求める機能によって最適なツールは異なるため、事前に確認しておくべき点を整理しておきましょう。
使用目的と機能が合っているか
エクセルの代替ツールを選ぶ際は、まず自社の業務で何を実現したいかを明確にしましょう。
単純な表計算だけが必要なのか、それともプロジェクト管理や顧客管理なども含めた包括的なシステムが必要なのかによって、選択すべきツールは異なります。
在庫管理、売上分析、スケジュール管理など、具体的な用途を洗い出し、それぞれに必要な機能をリストアップしてください。
また、将来的な拡張性も考慮し、現在は不要でも将来必要になる可能性がある機能についても検討しておくのが大切です。
エクセルの再現性があるか
既存のエクセルファイルを活用したい場合は、ツールで再現できるか確認が必要です。
ツールの中にはエクセルと互換性があるものもあり、ファイルをアップロードするだけで再現できる場合もあります。そういったツールを使用する際はファイル形式の対応状況や関数の互換性、マクロの実行可否など、できるだけ詳細にチェックしましょう。
互換性のないツールであれば新しく機能として設定する必要があります。
ツールの機能で元の処理を十分に再現できるかをよく検討してから導入することで、スムーズなツール切り替えにつながります。
導入のタイミングで運用フローを見直すことも大切ですが、スモールスタートで少しずつ改善することを考えると、はじめはエクセルの再現から始めるのが良いでしょう。
既存の業務フローを大きく変更することなく移行できるツールを選択すると、導入時の混乱を最小限に抑えられるはずです。
クラウド型かローカル型か
データの保存場所や運用形態も重要な選択基準です。
クラウド型はインターネット接続があればどこからでもアクセスでき、自動バックアップやアップデートに対応しています。
ただし、セキュリティや通信速度がネックになる場面もあります。
一方、ローカル型は自社サーバーで完全に管理できるため、セキュリティ要件が厳しい企業に向いていますが、運用保守の負担が大きくなりがちです。
社外からのアクセス頻度、機密データの取り扱い方針などを総合的に判断してツールを選択しましょう。
動作が軽く安定しているか
日常業務で使用するツールは、動作の軽さと安定性が生産性に直結します。
データを扱う際の処理速度、複数ユーザーの同時アクセス時のパフォーマンス、ブラウザでの表示速度などを、試用期間を利用して事前に確認しておきましょう。
また、サーバーの稼働率やメンテナンス頻度、障害発生時の復旧時間なども確認し、業務継続性に影響がないかもあわせて検討してください。
まとめ|目的にあったツールで業務効率を改善しよう
エクセルの代わりになるツールは、それぞれ独自の特徴と強みを持っています。エクセルにはない以下のメリットを享受できる場面も少なくありません。
- データを一元管理できる
- 業務を自動化・効率化できる
- チームでのコラボレーションが容易になる
- 拡張性が高い
- モバイル端末での操作性が高い
エクセルの代替ツールを選定する際は、使用目的や互換性はもちろん、サポート体制もチェックしておきましょう。自社のワークフローに最適なソフトを選択し、業務効率化とコスト削減を実現しましょう。