「エクセルで在庫管理表を作成する方法を知りたい」
「エクセルの在庫管理表で業務を効率化したい」とお考えではありませんか？
エクセルで在庫管理表を作成すれば、日々の入出庫や在庫数量を簡単に集計でき、作業効率を高められます。
ただし、在庫管理表を作るだけでは不十分で、実際に運用できる体制を整えることも大切です。
本記事では、エクセルで在庫管理表を作成する方法と運用のポイントを詳しく解説します。今日から使える在庫管理表のテンプレートも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
エクセルで在庫管理を行う際のポイント
エクセルで在庫管理を行う際のポイントは、以下の5つです。
- 在庫管理の目的を明確にする
- 在庫管理の4原則を整備する
- 5S活動を定着させる
- ABC分析を実施する
- 属人化を防ぐ仕組みを構築する
エクセルで在庫管理表を作成しても、効果的に運用できる環境が整っていなければ意味がありません。これら5つのポイントを押さえておくと、在庫管理の精度を高め、業務効率を向上させられます。
在庫管理の目的を明確にする
まず、「なぜ在庫管理を行うのか」を明確にするのが大切です。在庫管理の目的の例は、以下のとおりです。
- 生産性を向上させたい
- 無駄なコストを削減したい
- 欠品による機会損失を防ぎたい
- キャッシュフローを改善したい
企業によって在庫管理の目的はさまざまです。目的を明確にしておけば、どのような情報を在庫管理表に盛り込むべきか、どのような運用ルールを設けるべきかなど、設計・運用方針を具体化できます。
また、チームで在庫管理を行う場合は、目的や運用ルールを全員で共有することも大切です。
在庫管理の4原則を整備する
効率的な在庫管理を実現するには、「在庫管理の4原則」を理解して、業務に落とし込むことが大切です。
在庫管理の4原則とは、「必要なものを・必要なときに・必要な量だけ・必要な場所に供給する」という考え方です。
これらを意識して在庫管理の仕組みを整備すれば、過剰在庫や欠品を防ぎながら、効率的な在庫管理を実現できます。
5S活動を定着させる
在庫管理を実施するうえで、以下の5S活動を定着させることも大切です。
- 整理：不要なものを処分する
- 整頓：必要な在庫をすぐに取り出せるように配置する
- 清掃：保管場所をきれいに掃除する
- 清潔：保管場所がきれいな状態を維持する
- 躾（しつけ）：運用ルールを習慣づける
在庫管理と5S活動を並行して推進すれば、ピッキング作業の効率化、棚卸しの時間短縮、入庫・出庫ミスの削減などの効果に期待できます。
5S活動は古くからある活動ですが、現在においても意義のある活動と言えるでしょう。
ABC分析を実施する
ABC分析は、在庫品目を重要度別に分類する手法です。一般的には、全体の売上や利益に対する貢献度によってA（重要度高）、B（重要度中）、C（重要度低）に分類します。
商品を分類すると、Aランク品目には厳密な在庫管理を行い、Cランク品目には比較的緩やかな管理を行うといった、メリハリのある在庫管理を実現可能です。
例えば、Aランク品目は日次で在庫確認、Bランク・Cランク品目は週次や月次での在庫確認を実施するルールを設けると、限られたリソースを有効活用できます。
属人化を防ぐ仕組みを作る
定常業務である在庫管理は、特定の担当者しか業務内容・ルールを理解していない「属人化」の状態を極力避けなければなりません。在庫管理の属人化を防ぐためにも、以下のことを実施しましょう。
- マニュアル作成
- 入力ルールの設定
- シートの保護
- 運用方法の共有
操作マニュアルを作成し、入力ルールを設定すれば、誰でも同じ手順で在庫管理表を運用できます。また、シートの保護機能を利用して、誤編集を防止することも大切です。
複数人で在庫管理を行う場合は、運用方法を明文化して、共有することも忘れてはいけません。
エクセルで在庫管理を行うメリット
エクセルで在庫管理を行うメリットは、以下のとおりです。
- 初期コストがかからない
- 導入・運用が手軽ですぐに始められる
- 自由にカスタマイズできる
専用の在庫管理システムと比較すると機能面で見劣りする部分もありますが、エクセルならではのメリットも多数存在します。ここでは、エクセルで在庫管理を行うメリットを3つ紹介します。
初期コストがかからない
多くの企業では、既にエクセルが導入されているケースがほとんどでしょう。エクセルで在庫管理を行えば、新たにソフトウェアを購入したり、システム開発を依頼したりする必要がありません。
特に、管理する品目数が少ない場合は、エクセルで自作した在庫管理表や、インターネット上で無料配布されているテンプレートでも十分対応できます。
導入・運用が手軽ですぐに始められる
エクセルは多くの業務で日常的に使用されるため、社内でエクセルを使用しているようであれば改めて操作方法を覚える必要がなく、在庫管理表をスムーズに導入・運用できるでしょう。
また、無料で入手できるテンプレートを活用すれば、一から在庫管理表を作成する手間も省け、より手軽に在庫管理のデジタル化を実現できます。
エクセルの関数やマクロの知見がある人材がいれば、より複雑な在庫管理作業にも対応できる可能性があります。
自由にカスタマイズできる
エクセルで在庫管理表を作成する場合、レイアウトや計算式などを自社の業務フローに合わせて自由にカスタマイズできます。
市販の在庫管理システムでは対応できないような、独自の管理項目を追加したり、特殊な計算ロジックを組み込んだりすることも可能です。
また、在庫管理表を運用していく中で、必要に応じて機能や項目を簡単に追加・修正できる点もエクセルならではのメリットです。
エクセルで在庫管理表を作る方法
エクセルで在庫管理表を作る方法を3パターン紹介します。
- エクセル関数で単票タイプの在庫管理表を作成する
- エクセル関数で在庫移動表タイプの在庫管理表を作成する
- テンプレートを活用する
自身のスキルや状況に合わせて最適な方法を選択し、在庫管理表の作成に取り組んでみましょう。
エクセル関数で単票タイプの在庫管理表を作成する
単票タイプとは、1つの品目ごとに専用のシートを用意し、商品単体の在庫情報を詳細に管理する形式の在庫管理表です。
エクセルで単票タイプの在庫管理表を作成する手順は、以下のとおりです。
- 品目ごとに1枚ずつシートを準備する
- 必要な項目を1行目に入力する（A列：日付、B列：入庫数、C列：出庫数、D列：在庫数）
- D2セルに初期在庫を入力する
- D3セルに「=D2+B3-C3」の関数を設定する
- D列にD3セルで設定した関数をオートフィル機能でコピーする
管理品目が少ない場合や1品目あたりの在庫変動が大きい場合などは、単票タイプの在庫管理表が向いています。
エクセル関数で在庫移動表タイプの在庫管理表を作成する
在庫移動表タイプとは、全品目の入庫・出庫・在庫を1シートでまとめて管理する形式の在庫管理表です。
エクセルで在庫移動表タイプの在庫管理表を作成する手順は、以下のとおりです。
- 必要な項目を1行目に入力する（A列：品名、B列：初期在庫、C列：在庫数、E列以降：日付）
- A2セルとA3セルを結合して中央揃えする
- A列に結合したA2セルとA3セルをオートフィル機能でコピーする
- A列にそれぞれ正しい品名を入力する
- B2セルとB3セルを結合して中央揃えする
- B列に結合したB2セルとB3セルをオートフィル機能でコピーする
- B列にそれぞれ初期在庫の数を入力する
- C2セルとC3セルを結合して中央揃えする
- 結合したC2セルとC3セルに「=B2+SUM(E3:AI3)-SUM(E2:AI2)」の関数を設定
- C列に結合したC2セルとC3セルをオートフィル機能でコピーする
- D2セルに「出庫数」と入力する
- D3セルに「入庫数」と入力する
- D2セルとD3セルを選択し、D列にオートフィル機能でコピーする
管理する品目が多い場合や在庫数の変動を一目で把握したい場合などは、在庫移動表タイプの在庫管理表が向いています。
テンプレートを活用する
一から在庫管理表を作成する手間を省きたい場合や、エクセル関数に抵抗がある場合は、既存のテンプレートを活用するのがおすすめです。
インターネット上には、無料で利用できる高品質な在庫管理表のテンプレートが数多く公開されています。これらのテンプレートは、基本的な在庫管理に必要な項目や計算式が予め設定されているため、ダウンロードしてすぐに使い始められます。
自社の業種や管理したい品目に合わせて、最適なテンプレートを選択しましょう。
エクセル在庫管理表のテンプレート3選
エクセル在庫管理表のテンプレート3選は、以下のとおりです。
- ビズ研｜在庫管理表テンプレート集
- bizocean｜「在庫管理表・棚卸表」 の書式テンプレート・フォーマット
- smartsheet｜無料の在庫管理表テンプレート
より手軽に在庫管理表を作成・運用したい方は、テンプレートを利用するのがおすすめです。ここでは、無料で利用できるエクセル在庫管理表テンプレートを提供するWebサイトを3つ紹介します。
ビズ研｜在庫管理表テンプレート集
ビジネス課題の解決に役立つ情報サイト「ビズ研」では、さまざまな種類の在庫管理表テンプレートが無料で提供されています。
1枚の管理表につき1つの商品を管理できる基本的なテンプレート、複数の商品を1枚の表でまとめて管理できるもの、単価や入出庫先まで記録できるものなど、用途に応じたテンプレートが見つけられるでしょう。
各テンプレートには使用方法の解説も付属しているため、エクセル初心者でも安心して利用できます。
bizocean｜「在庫管理表・棚卸表」 の書式テンプレート・フォーマット
日本最大級のテンプレートサイト「bizocean」でも、在庫管理に役立つ多様なテンプレートが無料で提供されています。
一般的な在庫管理表はもちろん、棚卸作業を効率化するための棚卸表、在庫の動きを記録する入出庫管理表など、幅広いニーズに対応したテンプレートが充実しています。
会員登録（無料）が必要な場合もありますが、質の高いテンプレートが豊富に用意されているため、一度チェックしてみる価値はあるでしょう。
smartsheet｜無料の在庫管理表テンプレート
プロジェクト管理ツールとして知られる「smartsheet」のWebサイトでは、エクセル形式で利用できる無料のテンプレートが複数公開されています。
シンプルな在庫管理表、小売業向けの在庫追跡テンプレート、倉庫在庫管理テンプレートなど、自社の業種や用途にマッチしたテンプレートを見つけられるでしょう。
また、smartsheetのテンプレートはデザイン性が高く、視覚的に分かりやすい点も特徴です。
エクセルで在庫管理表を作る際に便利な関数
エクセルで在庫管理表を作成・運用する際は、いくつかの関数を覚えておくと便利です。関数をうまく使いこなせば入力ミスを減らしたり、集計作業を自動化したりできるため、より効率的な在庫管理を実現できます。
以下に代表的な関数とその用途を表形式でまとめているので、参考にしてください。
| 関数名 | 用途 |
| SUM | 指定した範囲の数値を合計（例：現在の総在庫数の計算） |
| SUMIF | 指定した条件に一致するデータのみを合計（例：特定商品の在庫数集計） |
| SUMIFS | 複数の条件に一致するデータのみを合計（例：特定カテゴリ・特定倉庫の在庫数集計） |
| VLOOKUP | 指定した値を検索キーとして、対応する別の列のデータを取得（例：商品コードから商品名や単価を取得） |
| IF | 指定した条件が真か偽かによって、表示する値や実行する計算を分岐（例：在庫僅少アラートの表示） |
| COUNTIF | 指定した条件に一致するセルの個数を集計（例：在庫切れ品目数のカウント） |
| TODAY | 現在の日付を自動で表示（例：在庫管理表の更新日の記録） |
| IFERROR | 数式がエラーになった場合に、指定した値を表示（例：エラー表示の代わりに「0」を表示） |
参考：Microsoft｜Excel 関数 (アルファベット順)
エクセルで在庫管理を行う際の注意点
エクセルで在庫管理を行う際の注意点は、以下の5つです。
- 入力・集計ミスが発生しやすい
- 複数人での同時編集がむずかしい
- データ量が増えると動作が重くなる
- 品数が多い企業には向いていない
- セキュリティやアクセス制限が弱い
エクセルは手軽に在庫管理を始められる一方で、いくつかの注意点も存在します。ここでは、エクセルで在庫管理を行う際に注意すべき点を詳しく解説するので、参考にしてください。
入力・集計ミスが発生しやすい
エクセルでの在庫管理は、基本的に手入力でデータを更新していくため、どうしても入力ミスや集計ミスなどのヒューマンエラーが発生してしまいます。
特に、入出庫のたびに手作業で在庫管理表を更新する場合は、数字の打ち間違いや更新忘れが起こりがちです。また、管理する品目が増えるほど、ミスのリスクが高まります。
単位（例：個、箱、kg）が統一されていない場合、誤発注や誤出庫といった重大なミスにつながる恐れもあります。
複数人での同時編集がむずかしい
エクセルファイルを共有設定すれば、複数人で1つのファイルを同時に編集することは可能です。しかし、同時編集中に編集内容が上書きされてしまい、数量が正しく反映されないリスクが存在します。
また、異なるバージョンのエクセルでファイルを共有すると、新しいバージョンの機能や数式が古いバージョンでは正常に動作しないケースもあります。
データ量が増えると動作が重くなる
在庫データは日々蓄積されていくため、エクセルファイルのサイズは必然的に大きくなっていきます。データ量が増加するにつれて、ファイルの開閉に時間がかかるようになったり、関数での計算やフィルター操作の応答が遅くなったりすることが少なくありません。
また、複雑な関数や大量のデータが含まれるファイルは、フリーズしたりクラッシュしたりする可能性も高まります。
品数が多い企業には向いていない
管理する品目や数量が多い場合、エクセルの在庫管理表では対応できない可能性があります。
膨大なデータの中から目的の品目を探し出すのに時間がかかったり、在庫全体の状況を一覧で把握するのが、むずかしいこともあるでしょう。
また、入出庫が頻繁に行われる忙しい時間帯には、入力作業が後回しになり、実際の在庫状況とエクセル上のデータとの間にズレが生じがちです。
セキュリティやアクセス制限が弱い
エクセルファイルはコピーや持ち出しが比較的容易であるため、常に情報漏洩のリスクがつきまとう点もデメリットです。シートやセル単位での詳細な権限設定がむずかしいので、ファイル全体に対するパスワード保護が主な防御策になります。
また、編集履歴（誰が・いつ・どのデータを変更したか）が細かくは残らないため、問題が発生した際に原因究明が困難なケースも少なくありません。
「エクセルでの在庫管理に限界を感じている」「より効率的に在庫管理を行いたい」という場合は、在庫管理システムを構築することを検討しましょう。
ノーコードで簡単に在庫管理システムを構築できる「プラスApps」
プラスAppsはプログラミング知識がなくても、簡単に自社専用の在庫管理システムを構築できるノーコードツールです。直感的な操作で在庫管理アプリを作成でき、業務に合わせて項目やワークフローを自由にカスタマイズすることで、効率化や自動化ができます。
在庫管理の件数が大きくなったりマクロやVBAを多く活用していると、エクセルが重くなってしまったり、複数人で扱う際にトラブルが発生してしまうなどの問題も考えられます。
プラスAppsはそういった問題も解決してくれるうえ、属人化や社員による差などを抑えることも可能です。
また、必要な機能にだけ絞り込み、オーバースペックを解消している点もプラスAppsのならではの特徴です。基本プランは1ユーザーあたり、月額300円からご利用いただけます。
ノーコードツールはDX（デジタル技術を用いて業務効率を改善すること）の観点で注目されているツールです。
30日間の無料トライアルもあるため、試しに在庫管理アプリを作成してみてはいかがでしょうか。
エクセルの在庫管理でよくある質問
エクセルの在庫管理でよくある質問は、以下のとおりです。
- 在庫管理アプリ・ソフトとエクセルはどちらがおすすめ？
- エクセルの在庫管理表を運用している会社は多い？
- 操作が簡単で見やすい在庫管理表をエクセルで作成するコツは？
それぞれ回答するので、エクセルを使用した在庫管理をスタートさせたい方は、参考にしてください。
在庫管理アプリ・ソフトとエクセルはどちらがおすすめ？
管理する品目・数量が多い場合や、複数人で在庫情報をリアルタイムに共有したい場合は、専用の在庫管理アプリ・ソフトウェアの利用がおすすめです。専用アプリ・ソフトウェアであれば、同時編集やアクセス権限の設定、変更履歴の追跡などが容易になり、大規模な在庫管理にも問題なく対応できます。
ただし、無料で利用できる在庫管理アプリ・ソフトウェアは、機能に制限が設けられており、本格的な運用には有料プランへの加入が必須になるケースがほとんどです。導入を検討する際は、無料版やお試し期間を利用して、自社の業務にマッチするかどうかを確認しましょう。
エクセルの在庫管理表を運用している会社は多い？
エクセルの在庫管理表を運用している会社は少なくありません。依然として多くの中小企業や小規模事業者が、エクセルファイルへの手入力や手書きの帳簿など、アナログな方法で在庫管理を行っているケースが見受けられます。
なお、株式会社エスマットが全19業種の仕事に従事する210名を対象に行なった調査によると、51.1%が「在庫管理のDX化を実施していない」と回答しています。
参考：PR TIMES 【2025年版】在庫管理に関する実態調査を公開 約8割が人手不足への課題感。人手頼りの在庫管理に対する不安も深刻化
操作が簡単で見やすい在庫管理表をエクセルで作成するコツは？
入力する手間を極力減らし、必要な情報を一目で確認できるようにするのが、操作が簡単で見やすい在庫管理表を作成するコツです。
例えば、商品名や単価などの基本情報は商品マスタシートを別途作成し、VLOOKUP関数やXLOOKUP関数を用いて、商品コードを入力するだけで自動的に表示されるように設計します。日付・商品コード・数量などの基本項目のみを手入力とし、在庫数や在庫金額が自動計算されるように工夫すれば、人的ミスを削減できるでしょう。
また、必須入力項目には色をつけたり、入力規則（ドロップダウンリスト）を設定したりすると、初心者でも直感的に操作しやすくなります。
まとめ｜エクセルでの在庫管理は環境整備がカギ
エクセルに限りませんが、在庫管理を実施する際は環境整備が欠かせません。
まず目的や運用ルールを明確にして、チーム内で共有しましょう。
加えて、5S活動やABC分析を実施し、在庫管理を効率的に行える体制を整えることも大切です。
もしエクセル管理に限界を感じることがあれば、ノーコードツールをはじめとした専用ツールを活用しましょう。
プラスAppsは30日間の無料トライアルがあるため、スモールスタートにぜひ活用してください。